2011年発行「ふでばこ」

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ふでばこ 24号(2011.11月発売号)

目次
  • ・ 特集「貝産物」
  • ・ 甲州名物「煮貝」の秘密
  • ・ アイゼンシュタット&ザルツブルク散歩
  • ・ ふでばこアーカイブス「vol.4 京の竹づくり」
【連載】
  • ・ 雲ノ平山荘物語/検見崎まこと
  • ・ 手とその周辺/坂本光三郎
  • ・ 夢は実現する/橋本勇夫
  • ・ 京の美学 日本の心/千總コレクションより 加藤結理子
  • ・ ここ掘れニャンニャン/甲斐美都里

人と貝の長い関わりをさまざまな「産物」から探ってみました。「貝塚」「螺鈿(らでん)」「貝料理」「のしあわび」「真珠」「貝ボタン」etc.「螺鈿」では超絶的技術で美しい螺鈿作品が生まれる過程を詳細に撮影。「真珠」では世界で初めて真珠養殖に成功した御木本幸吉氏の生涯を現在の真珠養殖の現場とともに34頁にわたって紹介するなど、人と貝との豊かな交わりを楽しく考えた総122ページの大特集です。

今回の特集タイトルは「貝産物」。「貝の料理」に始まって、「貝塚」「貝貨」「螺鈿(らでん)」「熨斗(のし)」「真珠」などなど、貝が生み出すさまざまな産物を追い、人と貝の長く豊かな歴史を学ぶものです。

ところで「真珠」といえば、世界で初めて養殖に成功したのは三重県出身の御木本幸吉さん。たいへんな苦労を乗り越えて養殖に成功、あのミキモトを創業して日本の真珠の名を世界に広め、96歳で亡くなるまで、真珠一筋に生きた方です。

今回、養殖場と、そのすぐそばにある生前のお住まいを撮影させていただきましたが、豪邸などという建物ではなく、美しくも簡素な日本家屋であることに、まず感動(今でも『御木本幸吉』の表札がかかっています)。贅沢といえば、壁いっぱいの窓に、英虞湾(あごわん)の景色が一面に広がることでしょうか。その景色が何よりの自慢だった幸吉翁は、“自然が美しく健やかでなければ、貝も人間も生きてゆけない”と、明治の頃から環境保護の大切さを訴えていたそうです。

一方ではとてもユーモアのある方であり、幸吉語録には「世界中の女性の首を真珠でしめてご覧にいれます」とか「ご婦人のご病気なら、真珠の首飾りでたちどころに治るようです」といった剛毅で茶目っ気たっぷりの言葉が。物怖じせず、国際社会と対等に渡り合ったともいわれ、知るほどに、その人間的魅力の深さに感動するばかり。真珠の美しさの奥には、人間味溢れる一人の日本人の情熱がありました。

貝と環境でいえば、江戸時代から知られる名物「桑名の蛤」復活に取り組む地元・赤須賀漁協の皆さんにもお話を聞きましたが、伊勢湾を美しく豊かな環境にするために、岐阜県での植林に参加しているとのこと。山・川・海は一体であり、それを壊すのも守るのも、そこから恵みを受けるのも私たち人間なんだとつくづく思ったことでした。

「ふでばこ」は、お近くの書店でお求めいただけます。また、こちらのショッピングページでもご注文を承っております。ぜひ、お手にとってご覧ください。

ふでばこ 24号

価格:1,800円+税

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ふでばこ特別号「小袖にみる美と技」 (2011.10月発売特別号)

目次
  • ・ 小袖の成立と染織の歴史
  • ・ 小袖を装う―――桃山時代から今日までの風俗絵巻
  • ・ 小袖の復元からみる意匠と染織技術の変遷:関西学院大学教授 河上繁樹
  • ・ 小袖を彩るヘア&メイク:有職美容師、南登美子さんの手技
  • ・ 現代の小袖―――京友禅の老舗・千總の仕事にみる
  • ・ 座談会 小袖はどこへ:杉本秀太郎、森口邦彦、林駒夫
  • ・ 紋縮緬地熨斗文友禅染振袖・その修理が成るまで

日本には「小袖」とよばれる着物があります。それは今日の「きもの」の祖先にあたるもので、室町から江戸時代にかけて華やかな服飾文化を展開しました。本誌ではその歴史をたどりつつ、当時の着こなしを時代ごとの髪型や化粧とともに再現。生きた美しさとしてご覧に入れます。また小袖文化を支えた高度な染織技術と、それを受け継ぐ現代のきものづくりを取材しました。総160ページ、まるごと小袖の大特集号です。

この特別号は一冊まるごと「小袖」の特集です。小袖という言葉を初めて聞く方も多いことと思いますが、ごく短く言えば「袖口の小さいきもの」のこと。今のきものも小袖の一つですし、洋装が普及するまで、日本人が着るものといえば小袖でした。

ご存知のように、きものはほぼ形が一定です。でも無数の表情がありますよね。仲人さんが着る留袖も、成人式の振袖も喪服も、袖の長さは違いこそすれ、衣服としての形は同じ。素材やデザインによってこれほど表情を変える衣服はないでしょう。

一つの形をこれほど“着こなす”日本人は、相当なお洒落です。身分によって着るものが決められていた江戸時代もそう。時代劇で御殿女中が優雅に裾を引いているのも小袖、茶店の娘さんが着る絣も、歌舞伎役者たちが粋に着流すのも小袖です。今日に伝わる小袖の現物、そして浮世絵などからも、人々が許される範囲で精一杯のお洒落を楽しんでいたことがわかるのです。

それが叶えられたのも、日本の染織技術が優れていたからこそ。逆に日本人のお洒落への欲求が、染織技術を高めたともいえるかもしれません。ところでこの小袖、今日に伝わる現物は博物館のガラスケースに収まるばかりで、着ることはおろか、触れることはできません。染織品はどうしても傷みやすいため致し方なく、ゆえに世の「小袖本」は小袖を衣桁にかけた状態で紹介するのが常ですが、やはり身に着けてこそわかる美しさもあろうというもの。

ふでばこでは、なんとかリアルに着た姿でお見せすることにこだわり、7領の小袖を手配。髪もかつらではなく地髪を結い上げての撮影を敢行しました。 着用した小袖は、技法も学術的に研究し、正確に当時を再現したもの。髪を結うのは日本を代表する有職結髪師である南登美子さんという、夢のような取り合わせで時代絵巻が展開されました。その美しいこと! こういう文化をもつ国に生まれてよかったと、見ればきっと思わずにはいられないでしょう。

ふでばこが今回このような特別号をつくったのは、今年10月から12月にかけて、京都で大規模な小袖展が開かれるためです。展覧会には、日本を代表する呉服の老舗である松坂屋、丸紅、千總の3社のコレクションを中心に、重要文化財を含む約180点の貴重な小袖が一堂に会します。ふでばこ特別号とあわせて、そちらもぜひご覧いただければと思います。

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ふでばこ特別号「小袖にみる美と技」

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ふでばこ 23号(2011.5月発売号)

目次
  • ・ 特集「時知ル具」
  • ・ 砂時計 見つめる時間、感じる時間
  • ・ 雲ノ平山荘物語 第一回 雲の上に家を建てる
  • ・ ふでばこアーカイブス「vol.3 曲げわっぱ」
【連載】
  • ・ 手とその周辺/坂本光三郎
  • ・ 夢は実現する/橋本勇夫
  • ・ 京の美学 日本の心/千總コレクションより 加藤結理子
  • ・ ここ掘れニャンニャン/甲斐美都里

今回は東日本大震災の影響で、発売がひと月遅れました。この間、楽しみにお待ち下さいました皆様に心より感謝申し上げます。この大震災は実に悲惨で、日本の危うさも露呈する出来事でした。この国のこれからを考えるとき、やはり拠り所となるのは「ものづくりの底力」です。それを可能にする日本人の器用さ・繊細な感性・誠実さをいっそう大切にしてゆかなくてはなりません。ふでばこもそのことを胸に刻み込んで、よりよい本づくりに努めてまいります。

今回の特集タイトルは「時知ル具」です。今の私たちは「時計」がなくてはまず生活できません。もし時計を持っていないとしても、「時間の観念」なしに生きることは不可能です。私たちは「時間の概念」と「時計」とに慣れすぎてしまい、あり難さをちっとも感じていませんが、これこそ人類の英知の結晶です。その歴史をふり返ることで「時間の価値」を知り、時に追われるだけでな楽しく過ごせるようになれたら―――そんな想いで特集を組みました。

「時」においても日本は、じつに独特の哲学とものづくり力を発揮してきました。江戸時代の「不定時法」や和時計はその典型ですが、明治以降に始まった近代時計産業でも、世界トップの実力を誇ります。日本最初の時計である天智天皇の漏刻、江戸時代の和時計、世界に冠たるセイコーの腕時計、瀬戸内海の小さな島に150年以上続く時計屋さん、今も根づよい人気のある砂時計メーカー、時間学という新しい学問のことetc. 日本の時の歴史はそのまま、日本人の感性とものづくりの力を物語るものでした。

ふでばこ 23号

価格:1,800円+税

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